個人的ゲームマシン資料室 NEC PC-FX戻る

PC-FX PC-FX用パッド

本体概要
メーカー日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)
型番PC-FX
発売日1994年12月23日
価格49,800円(後にオープン価格)
付属品・パッド
・AVケーブル
AV出力・Sビデオ端子
・コンポジットビデオ(黄)端子
・ステレオ音声(赤・白)端子
対応ソフト・PC-FX用CD-ROM
・Photo CD
・CD-DA
・CD-G
ネットワークサービスなし

解説
 PC Engineの後継機種だが互換性はない。アニメーション(2D)重視、高い拡張性など、PC Engineの思想を受け継いだ次世代機という位置付けだ。しかし、ライバル機のSATURNやPlayStationがポリゴン(3D)重視であり方向性が違うこと、さらにユーザーのニーズが3D志向になったことから、あまり売れず細々と展開する状態だった。
 ゲームショップや量販店でPC-FXを取り扱わなくなるところが多くなり、表舞台からは早々に消え去った。しかし、一部のコアユーザーに支持され、1998年にNECホームエレクトロニクスがDreamcastに参入してゲームハードから撤退するまで、意外と長く続いたゲームマシンである。
 PC Engineと同様にハドソンが開発に関わっており、ビデオやサウンドなどのチップセットはハドソンが開発したHuC62シリーズで構成されている。

特徴&注目点
●家庭用ゲーム機で初めて縦型筐体を採用
CD-ROMドライブ
 CD-ROMドライブは上に付いている。NECのパソコンPC-8801MCを連想させるスタイルだ。

●家庭用ゲーム機としては異例の高い拡張性
拡張スロット1
 正面ふたの中にある拡張スロット1。バックアップメモリパック専用スロット。
拡張スロット2
 背面にある拡張スロット2。いろいろな機器を接続できる汎用スロット。
 しかし、発売されたのはPC-FXをNECのパソコンPC-9800シリーズ用外付けCD-ROMドライブするためのSCSIインターフェイスのみ。
 通信機能を追加するFAXモデムの発売が予定されていたが発売されなかった。
 そのため、PC-FXの機能拡張するものは存在しない
拡張スロット3
 底面にある拡張スロット3。メインメモリ増設用スロット。
 PC-FXは標準で2MBytesのメインメモリを持っているが、より高度な処理を行うソフトへ対応できるように用意されている。
 しかし、増設メモリが発売されなかったので、この拡張スロットを使用することは絶対にない
 高い拡張性があっても使うものがないため、宝の持ち腐れである。

●高性能な動画再生機能
 高画質でなめらかな動画再生が可能。動画を単に垂れ流しで再生できるだけでなく、プレイヤーの操作に応じて瞬時に別の動画に切り替えるなど、インタラクティブな動画を再生できる。
 また、オープニングやイベントシーンなどでも、動画再生が開始されるまでの待ち時間がほとんど無いので、スピーディーなゲーム展開が可能。

●管理しやすいバックアップメモリ
 データセーブ用の内蔵バックアップメモリにバインダー(ディレクトリ/フォルダのようなもの)を導入。ゲームタイトル毎にファイルがまとめられているので管理しやすい。

●パッドの類似性
アーケードパッド6とPC-FXパッドの比較
 上はPC Engine用のアーケードパッド6、下がPC-FX用のパッド。形がほとんど同じである。
 設計を共通にしてコストダウンをはかるためだろう。
 ただし、モード切替スイッチやロゴ部分が異なる。何故か、方向キーの十時部分の形も微妙に違う。PC-FX用の方は角が取れている。

●意外と持ちやすいパッド
PC-FXパッド(裏)
 表から見るとあまり持ちやすく見えないパッドだが、裏には出っ張りがあってグリップしやすい。

●独特なコントローラー端子
PC-FXパッドとSFCパッドのコネクター比較
 写真上はPC-FXのコントローラー端子。オスプラグなのに電気接点が筒の中にあってメスプラグ状になっているという、変わった構造の端子。
 この特殊な端子はスーパーファミコンのコントローラー端子(写真下)と構造が同じだ。ピンの配置は違うが同じ構造でピン数も同じ。
 これは偶然の一致なのか?こんな特殊な端子は、この2つ以外見たことがない。

●PC Engineとの類似性
 PC-FXはフルカラーの動画再生が売りになっているが、それ以外の画面表示機能はほとんどPC Engineと変わっていない。同時期のライバル機がフレームバッファ上に背景やキャラクターなどを重ね合わせ処理して描画する方式(Windowsパソコンなどと同じ方式)を採用したのに対して、PC-FXはバックグラウンド(背景)、スプライト(キャラクター)など別々に描画したものを重ね合わせて表示する方式(ファミコンなどと同じ方式)を採用している。
 実質、PC Engine(上位機種のSuperGrafx)の画面表示にフルカラー動画表示面を追加しただけという感じだ。その為、動画はフルカラー表示が可能だが、背景やキャラクターなどはPC Engineと同じ512色表示である。ただし、拡大・縮小・回転を行う座標変換ハードウェアが付いたので、スプライト面が多少だが強化されている。
 サウンド機能もライバル機がPCM音源を多チャンネル搭載してリアルなサウンドを鳴らせるようになったのに対して、PC-FXはPC Engineと同じ波形メモリ音源6音にAD-PCM音源2音(PC Engineは1音)が付いただけ。オープニングやイベントシーンではリアルな音が鳴るのにゲーム中はチープな音というPC Engineとあまり変わらない状況だ。ただし、ソフトによってはAD-PCM1音はモノラルのBGM、もう1音を台詞の再生に割り当ててPC Engineよりは良くなっているものもあったが、ライバル機とは雲泥の差だ。
 PC Engineと互換性がないのに、ハードウェア構成はかなり類似している。CPUやメモリ量などはライバル機と同等レベルに進化しているのに、画像や音声周りは前世代を引きずっている中途半端な仕様だ。

PC EngineのCD-ROMを入れたときの画面
 PC-FXとPC Engineでは互換性がないので、PC-FXでPC Engineのソフトを動かすことはできない。
 しかし、PC EngineのCD-ROMを入れると「PC EngineのCD-ROMが入ってます」と表示される。対応していないソフトなのにわざわざ認識するのには何か意味があるのか・・・
 想像だが、ハードウェアにPC Engineとの類似性があることから、元々は互換性を持たせる予定だったのかもしれない。PC EngineのCD-ROMを認識するのはその名残なのだろう。
 PC-FXが採用しているハドソン製のチップセットHuC62シリーズにはCPUがあったはずなのに、PC-FXに搭載されたCPUはNEC製のV810である。HuC62シリーズのCPUを採用していれば、PC Engineとの互換性が実現していたのかもしれない。

●バトルヒートをPC Engineで立ち上げると・・・
 PC-FXとPC Engineでは互換性がないが、「バトルヒート」はPC Engineで立ち上げることができる。(他のPC-FXソフトには無いと思う。)
 もちろん、通常のゲームはプレイできない。オープニング曲がBGMで流れて静止画の上にPR文章がスクロールするだけだ。

●ソフトのパッケージ
 最初の頃は大きな独自のケースを採用していた。しかし、あまり中身は入っていないのに大きなケースであり、ユーザーはもちろん販売店からも批判的な意見が多かった。(収納や陳列の場所をとるため。)その為、途中から普通のCDケースに変更された。

購入した周辺機器
バックアップメモリパック
名称バックアップメモリパック
メーカー日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)
型番FX-BMP
発売日1995年11月24日
価格
説明  拡張スロット1に挿入して使用する外部記憶装置。セーブデータを保存できる。
 メモリーにS-RAMを使用しているため、電源として単4形乾電池2本が必要。電池が切れるとデータも消える。
 ただし、電池が切れる前の電池交換は、コンデンサーに貯まった電気で約10分間の保持が可能。

PC-FX用マウス
名称PC-FX用マウス
メーカー日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)
型番FX-MOU
発売日1996年3月15日
価格
説明  パッド端子に接続する、一般的な2ボタンマウス。対応ソフトのみで使用できる。

購入情報
購入日1994年12月23日(発売日)
購入場所でんきの店 谷沢 駅前店
購入価格49,800円
同時購入周辺機器なし
コメント
 PC Engineの後継機種であり、同世代の次世代機の中で一番発売を心待ちにしていた機種だから購入した。
 ゲーム機らしくないパソコンのような筐体が気に入った。ライバル機と比べると電源を入れてからの立ち上がりが速くて良い。

本体同時購入ソフト1
バトルヒート
タイトルバトルヒート
ジャンル格闘アクション
メーカーハドソン
発売日1994年12月23日
価格8,800円
コメント
 全てアニメーションで展開する対戦格闘ゲーム。技のキー入力に対応したアニメーションを瞬時に再生することによって対戦格闘ゲームを実現している。
 PC-FXの動画再生機能をフルに活用したゲームだ。画質が良く、かっこいいオープニングアニメーションも気に入った。しかし、アニメーションのパターンが限られているため、スプライトやポリゴンで表現する他の対戦格闘ゲームと比べると単調なゲーム展開である。
 また、ゲーム中は常にCD-ROMがアクセスしている状態であるため、CD-DAでBGMを鳴らすことができず、チープな波形メモリ音源によるBGMなのが残念。

本体同時購入ソフト2
チームイノセント
タイトルチームイノセント
ジャンルアクションアドベンチャー
メーカーハドソン
発売日1994年12月23日
価格9,800円
コメント
 3Dフィールド上を第3者視点でキャラクター操作するアドベンチャーゲーム。物語はSFで楽しめた。
 フルカラー3DCGを動画表示面に静止画表示したものを背景にして、スプライトキャラを拡大縮小させてフィールド上を歩き回らせる。動画表示面の背景とスプライト面のキャラクターで画質に差があるのが気になった
 途中に挿入されるムービーは臨場感があって感動した。

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