IMTS
車両
トヨタ自動車IMTS-00形バス
路線
2005年日本国際博覧会協会 愛・地球博線 北ゲート〜EXPOドーム
時刻
12:23発
乗車日
2005年8月8日(月)

 愛知万博の会場内を走行していたIMTSは、トヨタ自動車が開発した自動運転バスだ。確かにバスがアスファルト舗装されたIMTS専用道路を走っているのだが、実は鉄道である。IMTSは道路に埋め込まれた磁気マーカーを検知して自動的にハンドル(ステアリング)操作を行うシステムだが、これは磁気誘導式鉄道という分類になっている。(IMTSの為にそういう分類が出来た。)とにかく、日本の法律では線路・ガイドウェイ等、何かにガイドされて走行する交通機関は全て鉄道になる。しかも、会場内で会期限定だが国土交通省認可の第1種鉄道事業になっている。

北ゲート駅  IMTSの北ゲート駅。バス停ではなく駅である。最新のシステムが満載のIMTSだが、駅は出札窓口による切符の販売(自動券売機はない。)、有人改札(自動改札機はない。)と人手に頼ったシステムになっている。


北ゲート駅ホーム  改札口を抜けてホームに入るとホームドアが目立つ。新交通システムの駅のような感じだ。


北ゲート駅に到着した列車  北ゲート駅に到着した列車。IMTSは2〜3両が隊列走行を行っているが、これはソフト連結と呼ばれるシステムによりハードウェアの連結器を使用せずに、無線通信等を利用したソフトウェアの連結器で連結された列車だ。ぴったりと停車位置に止まり、車両とホームのドアが連動して開閉する。
 ちなみに終端駅である北ゲート駅やEXPOドーム駅に到着する列車は、一旦ホームの無い線を通過した後、駅の先にあるループ線を通って向きを変えてくる。バス型の車両であるため一方方向への走行を前提としている。その為、進行方向を変えて折り返し運転することが出来ないので向きを変えるループ線が必要になる。


ポイント  北ゲート駅にあるポイント。折り返しループ線の分岐・合流のためにある。折り返しループ線のあるEXPOドーム駅や行き違い交換設備のある西ゲート駅にもポイントがある。
 なお、車両は磁気マーカーによってガイドされるため物理的に動くポイント装置は本来必要ないのだが、万が一冒進した場合に対向列車と正面衝突を防ぐために、進路が開通しないと進めないよう設置されているのかも知れない。


 先頭車に乗車した。自動運転なので運転席にはモリゾーのぬいぐるみが座っている。先頭車では助手席に乗務員が座っているが、走行状態を監視しているだけで運転操作は一切行っていない。
 ドアが閉まるとATO(自動列車運転装置)によって自動的に走り出す。カーブにさしかかると運転台のハンドル(ステアリング)が自動的に動き出すのが面白い
 全区間単線だが中間駅の西ゲート駅は交換設備があり、二つのホームがある。ここで、EXPOドーム発、北ゲート行きの列車とすれ違った。
 EXPOドーム駅では、先にある折り返し用ループ線を通ってからホームに到着した。
 乗車した感想は・・・乗り心地はバスそのものだが、ATC(自動列車制御装置)信号を受信して加速や減速を開始するタイミングというか感覚が電車っぽい。総合すると自動運転の新交通システムのような乗り心地だった。システム全体を見ると新交通システムとガイドウェイバスの中間なのかな。

IMTS-00  走行中のIMTS-00形車両。バスの形をしているが、磁気誘導式鉄道を走行する鉄道車両である。
 駅に停車しているときに発見したのだが、車体側面にドアが開いていると赤く点灯するランプが付いていた。これは車側灯と呼ばれる物で鉄道車両に付いている。こんな所からもこのバスが鉄道車両であることが分かる。


ムービーライブラリ
愛知万博IMTS走行(EXPOドーム駅終端ループ) (YouTube)

車両
トヨタ自動車IMTS-00形バス
路線
2005年日本国際博覧会協会 愛・地球博線 EXPOドーム〜西ゲート
会場内管理道路 西ゲート〜メッセ前
時刻
14:33発
乗車日
2005年8月8日(月)

 今度はEXPOドーム駅からメッセ前バス停まで乗車した。西ゲート駅までは先ほど乗ってきた区間を戻るが、そこから支線へ分岐する。支線は手動運転区間となっていて鉄道路線ではなく道路。正真正銘のバスに変身する。
 これも、IMTSの特徴で、鉄道と道路の直通運転が実現出来るデュアルモードだ。都市部は専用軌道で渋滞もなく定時運行が出来て、郊外では一般道路を走ることによりきめ細かな需要に対応出来る。また、専用軌道を最低限にすれば建設費の低減にもなる。コンセプトとしてはガイドウェイバスと同じだ。

EXPOドーム駅  EXPOドーム駅の様子。かなり混雑している。しかも、メッセ前行きは本数が少ないローカル線(?)なので30分ぐらい待つことになった。


IMTS-00形の運転席  到着した3両編成の内、前2両が北ゲート行きで、最後の1両がメッセ前行きになっている。運転席には例によってモリゾーのぬいぐるみが座っているが、先頭車と違い助手席にも乗務員がいない


 前の車両が動き出すと連動するように動き出した。ソフト連結という見えない連結器で連結されているわけだが、この連結器はのびる(?)のだ。低速時は車間が狭いがスピードが上がってくると車間が広がる。だが、あくまでも連結されているので速度が一定なら車間も一定の距離を保ち続けている
 西ゲート駅に停車すると乗務員が乗車してきた。(でも、まだ助手席に座っている。)そして、北ゲート行きの前2両だけが先に発車する。3両目が切り離されたのだ。しばらくすると切り離されて1両になったメッセ前行きが自動で動き出す。ホームを過ぎるとポイントで左へ分岐して停車。ここから手動運転に切り替わる。モリゾーが助手席に移り、乗務員が運転席へ。乗務員が無線で司令所と交信後、運転台のスイッチをいくつか切り替え、再び無線交信。司令所からの指示が出て発車した。切り替えにかかった時間は1分程度。ちょっと長い感じがする。以前、名古屋ガイドウェイバスに乗車したときは軌道から道路への切り替えはほぼ一瞬だった。ただ、あちらは全区間手動運転で車両側面のガイド輪の出し入れぐらいしか変わるところがないから早いのだろう。IMTSでは自動運転から手動運転に切り替わるので運行管理システムとの整合性のため時間がかかると思われる。ただ、実用化するためには切り替え時間の短縮をする必要があるな。
 手動運転になると普通のバスだ。終点のメッセ前にはループ線がないので切り返しを行ってバックでホームへ入る。ここら辺も普通のバスという感じ。

ムービーライブラリ
愛知万博IMTSの前面展望(EXPOドーム〜メッセ前) (YouTube)

IMTS車両基地  西ゲート駅に隣接しているIMTSの車両基地。


手動運転切り替え地点  車両基地の隣にある自動運転から手動運転に切り替わる地点。カーブを抜けたところまで自動でやってくる。


自動運転切り替え地点  手動運転切り替え地点のさらに隣にある、手動運転から自動運転に切り替わる地点。こちらは運転士が磁気マーカーの軌道に合わせるように停車する必要があるため長さがある。自動への切り替えが完了すると遮断機が上がる。


車両
トヨタ自動車IMTS-00形バス
路線
会場内管理道路 メッセ前〜自動切り替え地点(西ゲート)
2005年日本国際博覧会協会 愛・地球博線 自動切り替え地点(西ゲート)〜北ゲート
時刻
17:13発
乗車日
2005年8月8日(月)

 最後に、手動運転から自動運転の切り替えを体験するためにメッセ前バス停から北ゲート行きに乗車した。

メッセ前バス停  手動運転区間(鉄道区間外)であるメッセ前は駅ではなくバス停になっている。構造もホームドアが完備された自動運転区間の駅とは異なり、ホームドア無しの質素な作り。切符売り場や改札口もないバス停らしい構造になっている。また、運転本数が少ないので閑散としていてローカル線の雰囲気たっぷり。


 バスの到着時間が近づいてくると乗客が集まりだした。切符売り場がないのでそのまま列に並んでいると、係員が切符を売りに来た。

タラップ  自動運転区間の駅では車両がホームすれすれに停車するので隙間があまり無いが、手動運転区間のメッセ前ではホームと車両の隙間があるのでタラップが用意されている。


 手動運転で発車し、西ゲート駅に隣接した自動運転切り替え地点へ向かう。なお、切り替え地点が西ゲート駅と北ゲート駅の間にあるため、手動から自動へ切り替わる場合は西ゲート駅に停車しない。その為、メッセ前から西ゲートへ行く場合は一旦北ゲート駅まで行く必要がある。(北ゲート駅でEXPOドーム行きに変わるので継続乗車。)
 自動運転切り替え地点では軌道に埋め込まれた磁気マーカーに合わせて停車させる必要がある。(ずれていると認識出来ず、自動運転に切り替わらない。)運転士は運転台のモニタ画面に表示されたガイドを見ながら停車させているようだった。
 自動運転に切り替えが完了すると遮断機が上がり、自動で動き出す。本線への合流地点の手前で一旦停止。しばらくすると、EXPOドーム発、北ゲート行きの2両編成が西ゲート駅を発車して合流地点を通過。すぐに、メッセ前発、北ゲート行きも自動で動き出した。そして、走行中にソフト連結。そのまま3両編成になって北ゲート駅へ向かう。切り離しは駅停車中だったが、連結は駅間で走行中に行うようになっていた。

 改良する点はまだあるが、システムとしてはかなり完成している感じだ。新交通システムほど利用客はいないが、渋滞が酷いような都市部に最適だろう。IMTSが最初に実用化されるのはどこだろうか。

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