旧太子線の廃線跡
訪問日
2010年10月9日(土)

日野RC701  長野原草津口駅でツアー会員バスに乗り換え。使用車両は草軽交通の日野RC701。30年前に製造された、年季の入った観光バスだ。今回のツアーではこのバスに乗ること自体も目的に入っている。本当は今年の5月に車検切れで廃車されるはずだったが、日野RC701ファン(?)の応援によって廃車が一年延期されたらしい。
 ツアーの募集定員に対して申込者がかなり多かったようで、バスが2台に増車されていた。ただし、2台目は新しい観光バス。たぶん、当初の定員いっぱいになった後は、日野RC701には乗れないことを条件に追加募集したのだろう。


日野RC701先頭部分  日野RC701の先頭部分。左上にあるアナログ時計が懐かしい。子供の頃、観光バスに乗ると必ずこの時計が付いていた。このバスが作られた頃、自分は小学生だった。


ゆもみちゃん  長野原草津口駅に停車中、草津温泉PRキャラクターの「ゆもみちゃん」が笑顔を振りまいていた。動きがかわいらしい。


ビデオ映像
草津温泉PRキャラクター ゆもみちゃん(長野原草津口駅) (YouTube)

 いよいよ、今回のメイン「廃線跡ツアー」、国鉄 太子線(おおしせん)の廃線跡に向かう。バスに旧太子線のガイドとして中之条町(旧六合村)役場の人が乗車して出発した。
 太子線とは通称で、正式には長野原線(現・吾妻線)の長野原駅(現・長野原草津口駅)〜太子駅(5.7km)の区間のことである。元々は鉄鉱石を運び出すための日本鋼管専用線として建設された。その後、国鉄に移管されて旅客営業も行った。しかし、1970年に休止。1971年に長野原線の長野原駅〜大前駅が開業するのに合わせて長野原線は吾妻線と改称し、太子線は廃止された。

旧太子線の鉄橋  長野原草津口駅を出発してしばらく行くと、白砂川にかかる旧太子線の赤い鉄橋が見える。ちなみに、すぐ奥に見える(赤い鉄橋のすぐ下に見える)白いトラス橋は吾妻線の鉄橋だ。長野原草津口駅がかつては分岐駅だったことがわかる。しかし、吾妻線の長野原草津口駅から先が開業したときは、すでに太子線は休止中だったため実際に分岐駅として機能していたことはない。


 ここからしばらくは旧太子線をしっかりと目視することはできない。ほとんど山の中に埋もれている。バスは一気に旧太子駅のあるところまで進んだ。

旧太子駅  旧太子駅。現在は公園になっている。コンクリート製の建造物は鉄鉱石のホッパー。下に貨車が入って鉄鉱石を積み込んでいた。手前の鉄棒があるあたりは旅客ホームがあったようだ。


旧太子駅のホッパー下  土砂に埋もれているホッパーの下。ここに貨物列車が入って、上の穴から鉄鉱石を落として貨車に積み込んでいたと思われる。


旧太子駅の車止め  旧太子駅の車止め。ここが線路の終点だった。車止めの奥に見える小さな小屋は公衆トイレ。このトイレはかつて太子駅があった頃からずっと使われ続けているものらしい。


旧太子線廃線跡  旧太子駅から長野原草津口駅方面に向かって旧太子線の廃線跡を歩く。このあたりは生活道路に転用されている。


旧太子線廃線跡  さらに進むと山深くなってくる。勾配が急になってきた。重い鉄鉱石を積んだ貨物列車にとっては結構な急勾配だったかもしれない。


第二愛宕隧道  第二愛宕隧道(トンネル)が姿を現した。廃線跡らしい雰囲気が漂っている。


第二愛宕隧道の中  第二愛宕隧道に入る。道路は舗装されていたが、トンネル内は未舗装でかなり足場が悪い。しかも、元鉄道トンネルらしく照明が一切なし。真っ暗である。しかも、それなりに長さがあるので、通行には十分注意する必要がある。


ビデオ映像
国鉄 太子線跡 第二愛宕隧道 (YouTube)

 第二愛宕隧道を抜けるとすぐに第一愛宕隧道がある。こちらは若干短いが、やはり内部は未舗装、無照明だ。
 時間の関係もあるため、第一愛宕隧道を抜けたところで引き返してバスへ戻る。

第二愛宕隧道の中  フラッシュ撮影した第二愛宕隧道の中。


 廃線跡らしき構造物があまり残っていないためか、あまり注目されていない旧太子線。町役場としても特に保存活動などを行っていたわけではない。しかし、予想以上の参加者に町役場の人も驚いていたようだ。これがきっかけで、現状の保存や過去資料の発掘および整理などを行っていくことが決まったらしい。今後、もっと注目される廃線跡になるかもしれない。
 バスに戻って、町役場の人からプレゼントがあった。今日作った即席の絵はがき(太子駅に停車するC11形蒸気機関車牽引客車列車の写真)と六合地区の特製タオル。そして、町役場の人とはここでお別れとなった。

特急「草津51号」
出口
旧草軽電鉄 北軽井沢駅

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