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24.女川駅とその周辺
訪問日2013年8月17日(土)

地図
 高台に設置された代行バスの女川駅から、元々の女川駅を目指して徒歩移動する。現在地(地図の青丸)からは女川小学校と女川中学校の間の道を降りていけば良さそうだ。
 しかし、いきなり行き詰まってしまった。工事の関係で降る道が閉鎖されているのだ。代わりに隣の登る道を通るようにと案内板に書かれていた。ただし、徒歩のみ。(自動車は通行不可。自動車は代行バスが通ってきた遠回りのルートで行くしか無いようだ。)
 下に降りたいのに本当にこの道で行けるのか?疑問に思いながら歩いていると・・・知らないうちに学校(女川中学校)の敷地に入ってしまった。あれ?門あった?ちょっと引き返すと開きっぱなし(閉められない状態)になっている柵はあるが表札は無い。(ちなみにグーグルストリートビューで見てみると、やはり学校の敷地へ入ったのに気づかなかったのか、ちょっと中に入ったところまで撮影されている。)
 無断で学校に入るのはどうかと思ったが、案内通りに来たんだから仕方が無い。反対側に抜けられそうなので、そのまま通り抜けることにする。学校は夏休み中でひっそりとしていた。

高台から見下ろしたところ
 女川中学校を抜けて少し進むと、下の方が見えてきた。女川の町があったところだが、津波で流されて何も無くなっている。

海岸沿いの道
 高台から降りると、海沿いの道に出た。さっき乗車した代行バスが走ってきた道だ。津波後に整備された新しい道路のようだ。

倒れた交番
 海沿いの道から内陸側にあった、津波で倒れた交番

女川サプリメント
 海側では「女川サプリメント」(健康食品会社)のビルが横倒しになっていた。右側が建物の基礎で、左側が屋上。海側に屋上が来ているのは、津波が押し寄せたときに倒れたのでは無く、津波が引くときに倒れたからのようだ。

女川サプリメント
 女川サプリメントの案内板。被災前の写真が掲載されている。説明文に乗用車が取り残されていると書かれている。

女川サプリメント
 1階部分を見てみると、確かに横に倒れた状態の乗用車がある。駐車場に止めてあった車が建物ごと倒れたのだろう。

地図
 ところで、グーグルマップが被災前の状態なので、現実とかなり異なっている。女川駅のあった場所に行きたいのだが、たどり着けない。
 現在地(海沿いの道)から女川駅方面は、ずっと柵で仕切られていて入ることが出来ないようになっている。復興のための工事が本格的に進められているのか、女川駅周辺は立ち入り禁止になったようだ。

旧・女川駅付近
 柵越しに旧・女川駅付近を見てみる。広大な工事現場という感じ。

旧・女川駅付近
 柵越しにズームしてみる。地図と対比してみると、立ち入り禁止の看板あたりが女川駅のあった場所と思われる。
 これ以上女川駅のあった場所に近づくことは無理だし、女川で昼食を取る予定なので、食事が出来る場所を探すことにする。

女川町地域医療センター
 しかし、周囲は津波で流されて何も無い。食事は無理なのか?すると、高台に建物が建っていたので近づいてみる。グーグルマップでは女川町地域医療センターと表示されている。病院に食堂があるかも。そして、よく見ると階段を上ったところに「営業中」と書かれた赤いのぼりが!これは期待できそうだ。
 でも、昼食時間までちょっと時間があるので、周囲を回ってから行くことにする。

献花台
 女川町地域医療センターの北側に献花台が設置されていた。花を持っていなかったので、お祈りだけした。

江島共済会館
 女川町地域医療センターの南側へ回り込んでいくと、倒れた江島共済会館ビルが・・・地震での倒壊ではなく、津波で転倒することが予測できただろうか?

江島共済会館
 江島共済会館の正面側。基礎ごと建物の形を保ったまま倒れている。つまり、建物自体は大地震に耐えられる強度があるのだろう。

江島共済会館
 江島共済会館の案内板。被災前の写真が掲載されている。写真を見ると被災前は周りに建物がたくさんあった事がわかる。もちろん、全てが津波で流されたわけではなく、解体撤去工事によって無くなったのだろう。

女川町地域医療センター
 南側の階段から女川町地域医療センターのある高台へ登る。階段の手すりが片方無くなっている。

江島共済会館
 女川町地域医療センターの南側から江島共済会館を見たところ。周りは更地になり、復興に向けた工事が始まっている。
 右側の電柱に「オイデ釣具店」の広告が付いている。どこかで見覚えがある名前だと思ったら、被災前の写真で江島共済会館の隣にある店だ。しかし、電柱の看板では1km先と書かれているので、移転して営業を継続しているようだ。

旧・女川駅方面
 女川町地域医療センターの北側から旧・女川駅方面を見たところ。ほとんど更地になっている。
 「営業中」の赤いのぼりは、さっき下から見えたもの。

旧・女川駅方面
 代行バスで女川駅に到着してから、女川町地域医療センターまで辿ってきた道はこんな感じ。本来なら代行バスの女川駅と女川中学校の間に見える道を降りてきて、旧・女川駅へ行けるはずだった。しかし、現在は女川駅があった場所の周囲は全て工事で立ち入り禁止になっている。

女川町地域医療センター入口
 女川町地域医療センターの入口。右の柱に赤い線が引いてあるが、ここが津波が到達した高さ。これだけ見ると、2m程度にしか思えないが、女川町地域医療センターのある高台の高さを加えると・・・凄い津波だ。倒れなかった建物だって全て水没していると思うと恐ろしい。

 女川町地域医療センターの正面入口にある案内図を見ると、中で復興食堂「さんさん亭」が営業しているようだ。正面入口からは病院に用のある人以外は入らないようにという注意書きがあったのだが、「さんさん亭」は一番奥の方にある。病院内はひっそりとして、入っていいのか不安になったが入ってしまった。

復興食堂「さんさん亭」
 女川町地域医療センター内にある復興食堂「さんさん亭」の入口。元々食堂ではない部屋を使っているのか、雰囲気が病院っぽい。(病院の中だから当たり前と言えば当たり前だが・・・)「営業中」の札の向こうには、診察室などにある衝立が見えるし。

 観光客がたくさん来ているので中は賑わっていた。でも、代行バスの女川駅は遠いので、ほとんどの人が自家用車で来ている。女川町地域医療センターの駐車場にはたくさんの車が止まっていた。
 カツ丼を注文する。値段の割にはかなりボリュームがあった。そして、おいしかった。

女川町地域医療センター入口
 復興食堂「さんさん亭」入口の横からすぐに外へ出られた。女川町地域医療センターの裏側からだと、病院内を通らなくても食堂へ行けたのだ。

仮設商店
 再び、女川町地域医療センターの表側に回り、仮設商店へ行ってみた。病院の建物と駐車場の間に仮設商店が設置されている。

仮設商店通路
 仮設商店の通路。病院の待合室にあるような椅子が並んでいる。(たぶん病院のやつだろう。)

おちゃっこクラブ
 仮設商店の一番端にある「おちゃっこクラブ」という店でソフトクリームを食べて一休み。日差しが強くて暑い日だったが、日陰に入ると風が涼しい。

折れ曲がった支柱
 休憩後、代行バスの女川駅まで戻る。女川町地域医療センターの高台から降りる階段の下には津波の威力で折れ曲がった支柱が・・・。

柵の壊れた階段
 さらに下へ降りる階段は、柵が壊れている。

かさ上げ工事中
 女川町総合運動公園のある高台へ登る道から見下ろしたところ。女川駅があったあたりでは、津波対策でかさ上げ工事が行われていた。

かさ上げ工事中
 女川の内陸側を見たところ。かさ上げが行われた後、新しい街作りが始まるのだろう。奥の傾斜しているところに墓地が見える。

墓地
 奥にある墓地の様子。現在は復旧しているようだ。
 津波で女川駅に停車していたキハ48形気動車が流され、この墓地の上に横たわっていた報道写真は忘れられない。こんな所まで重い車両が流されるとは・・・

 再び、坂を登っていくと女川中学校が見えてきた。来るときは気づかなかったが、こちらの入口はちゃんと表札があった。そして、女川中学校の中を通って代行バスの女川駅へ戻った。

 ニュース映像やインターネットで公開された写真で、女川の現状をある程度は知っていた。しかし、実際に訪れて、その場所に立つと、地震と津波の恐ろしさをより感じることが出来た。そして、災害の備えについて、さらに意識するようになった。
 一方で、復興に向けて頑張っているのが感じられた。工事が進んでいると言うだけでなく、立ち寄った店の人がにこやかで前向きに進んでいる感じがした。
 石巻線が女川駅まで復旧したら、再び訪れようと思う。

23.石巻線 代行バス(下り) 出口