昔の碓氷峠
訪問日	1997年8月11日（月）

　長野行き新幹線開業に伴い1987年9月30日付けで廃止になる信越本線の横川〜軽井沢。大きな変化が近づく横川駅を訪れた。

　横川駅では横川〜軽井沢専用補助機関車の連結解放が行われた。峠を登る列車には後ろから押し上げていくためにEF63形電気機関車を連結し、峠を下ってきた列車からは前を支えてきたEF63形電気機関車を解放する。そのため、横川駅には全ての列車が停車した。
　山奥の小さな駅という感じの横川駅だが、特急列車も止まる重要な駅なのだ。


　峠の番人ともいえる、EF63形電気機関車。常に2両1組で連結される。青色の塗装が標準だが、廃止間近になって何両かがデビュー当時の茶色塗装に塗り替えられた。
　EF63形電気機関車の利用価値はなくなってしまう。全て廃車にされてしまうのだろう。


　EF63形電気機関車2両の後押しをされて横川駅を発車していく特急「あさま」。「あさま」に使用されている189系電車はEF63形電気機関車からの指令により協調して走行する。運転操作は全て機関車の一番後ろに乗っている運転士が行っている。（峠を下るときは一番前。）
　峠を登る列車の運転士は後ろ向きでバック運転をしているのだ。（常に峠の下を見ている。）


　峠を登っていく特急「あさま」。運転は全て後ろのEF63形電気機関車で行っているので、先頭の運転士は前方監視のみを行い運転はしていない。先頭の運転士は前方の状況を無線で後ろの運転士に伝えている。


　特急「あさま」の後押しをするEF63形電気機関車。


　坂の上から横川駅方面を見る。勾配がきついのがわかる。


　横川駅のとなりにある横川運転区。EF63形電気機関車専用の車両基地だ。機関車と運命を共にして廃止される。


　特急が多く走るのに比べて、1日数往復しかない峠を越える普通列車。たった3両の115系電車にも2両のEF63形電気機関車が連結される。115系電車は協調運転が出来ないので動力は機関車のみ。


　新前橋電車区の165系電車を使用した臨時快速。6両編成の165系電車の先頭に連結されて下りを支えてきたEF63形電気機関車が切り離される。165系電車も協調運転は出来ない。全てEF63形電気機関車任せである。


　横川駅の長いホームにポツンと停車している2両編成の107系電車。峠を越えない横川止まりの電車に使用されている。横川駅が本当の終点になって特急が走らなくなると、この107系電車がここの主役になる。


　横川駅で峠の釜飯を販売する「おぎのや」。列車の到着時には礼で乗客を迎え、発車時には礼で乗客を送る。峠を越える列車が無くなると、この風景も見られなくなる。

訪問日	1997年9月28日（日）

　廃止の2日前に最後の姿を見てきた。

　高崎駅５番線の発車案内表示器。「長野」の表示が在来線ホームに出ることはもうないだろう。


　軽井沢駅に到着した上り特急「あさま」。峠を下るため、EF63形電気機関車の連結を待つ。


　特急「あさま」189系電車の先頭部に接近するEF63形電気機関車。


　連結作業中。作業員がEF63形電気機関車と189系電車の制御線を接続し、電気的に接続される。以後、峠を下って横川に到着するまでは全て、EF63形電気機関車側で制御される。


　2両のEF63形電気機関車を先頭にして発車を待つ特急「あさま」。EF63形電気機関車の運転士と189系電車の運転士で、無線のやりとりが行われる。


　軽井沢駅を去っていく特急「あさま」。EF63形電気機関車を先頭にしてゆっくりと峠を下っていく。


　軽井沢駅からEF63形電気機関車に支えられた115系電車に乗車し、信越本線　軽井沢〜横川の乗り納め。車内は乗り納めの人たちで超満員状態だが、機関車直後の先頭車先頭部に乗車できた。ゆっくりと進む機関車の唸り、急勾配を走る台車のきしみ音が印象に残った。
　ちなみに、同区間は特急「あさま」で乗車したことがあったが、普通列車に乗車するのは今日が最初で最後だ。

サウンドライブラリ

ＪＲ東日本　EF63形電気機関車+115系電車　走行音（軽井沢〜横川）

　EF63形電気機関車の高崎側に取り付けられたヘッドマーク。


　横川駅にある「おぎのや」の看板。E2系新幹線電車に釜飯が乗っている絵があるように、今後は長野行き新幹線「あさま」の車内で販売が行われる。もちろん、横川駅での販売も継続される。

訪問日	1997年10月5日（日）

　横川〜軽井沢が廃止になり不要になったEF63形電気機関車が新前橋駅に留置されている。この後に待っているのは廃車回送。そして解体か？

長野行き新幹線「あさま561号」

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