アルフの部屋鉄道趣味の部屋懐かし写真館
E993系電車「ac@train」
撮影場所
JR東日本 大宮総合車両センター
撮影日
2005年5月28日

 大宮総合車両センターの一般公開で展示されていたE993系電車「ac@train」。次世代の一般形電車として試作された5両編成の連接車だ。E231系電車を基本にしているが、試験的要素が盛りだくさんの車両になっている。営業用の車両ではないため、車内を見ることができたのは貴重な体験だ。
 なお、E993系電車を元に営業用車両としたE331系電車が1編成だけ製造されたが、これも試作要素が高い物となっている。(ほとんど営業運転されず、量産もされていない。)

クハE992
 先頭構造が通勤形タイプのクハE992。同時期に登場したE231系500番台電車に近い正面デザイン。35系気動車以降採用されなかった外吊り式両開きドアが特徴。戸袋がないため壁の厚みを薄くすることができ、その分客室を広くできるが、営業用量産車には反映されていない。

クハE992の運転台
 クハE992の運転台。計器や表示灯を廃止し、全て液晶モニターに映し出す方式が採用されている。これは、E231系1000番台電車の後期型から量産採用され、JR東日本の車両では一般的な装備になった。

ロング・セミクロス転換シート
 ロングシートとセミクロスシートを切り替えることができる座席。実用化された同様な物として近鉄のL/Cカーや仙石線205系3100番台の2WAYシートがある。これは2人がけ回転シートを90度回転させることでクロスシート状態とロングシート状態に切り替えている。どちらの状態でも着席定員は変わらず、ドア間に6人しか座れない。
 しかし、E993系電車で試作された座席は、ロングシート状態では通常のロングシートと同じ7人がけになっている。中央3人がけ部分(背もたれが低いところ)の座面が壁に折りたたまれ、両脇の2人がけ(背もたれが高いところ)が90度向きを変えることで4人がけボックスシートになる。そして、座席のなくなった両脇(ドア横)は壁に折りたたまれていた座面が開いて2人がけロングシートになる。セミクロスシート状態では通常のセミクロスシートと同じ8人がけになる。
 通常の固定されたロングシートやセミクロスシートと全く同じ座席配置(着席定員)を実現できる画期的な物だが、構造が複雑なためかE331系電車の先頭車に採用されただけだ。

E993系電車連結部
 連結部はドアがない広い通路で渡り板が回転するターンテーブルになっている。連接車らしい構造だ。しかし、E331系電車ではE993系電車とは異なり、通路幅が通常の車両と同じになって扉が付き、渡り板も通常のものになってしまった。
 乗降ドアの上にある2画面の液晶モニターは当時珍しい物だったが、今では普通の装備になっている。しかし、E993系電車では座席上(荷物棚上)の広告スペースやドア横の広告スペースにも液晶モニターが設置されている。ほとんどの車内広告をデジタル化する装備だが、実用化されていない。
 ドアの黄色い警告ラインや黄色の滑り止めはE233系電車などで採用されるようになった。

クハE993
 先頭構造が近郊形タイプのクハE993。高運転台かつ運転席スペースが拡大された構造で、E217系電車やE231系1000番台電車と同様だ。E233系電車では通勤形もこのタイプが標準になった。

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