JR東日本 E200系ディーゼルハイブリッド車
車両
JR東日本E200系ディーゼルハイブリッド車
路線
小海線 小淵沢〜中込
時刻
15:33発、17:29着
乗車日
2007年8月13日(月)

 JR東日本が開発した営業運転世界初のディーゼルハイブリッド鉄道車両である、キハE200形が小海線で運転開始したので乗車してみた。キハE200形はシリースハイブリッド方式だ。ディーゼルエンジンは発電専用で、走行動力にはつながっていない。ディーゼル発電機の電力とバッテリーの電力を組み合わせてモーターで走行する。ディーゼルエンジンを持っているため形式の「キハ」が示すように気動車扱いだが、構造的には発電設備を持った電車である。

ムービーライブラリ
JR東日本E200系ディーゼルハイブリッド車(小淵沢駅) (YouTube)

JR東日本E200系ディーゼルハイブリッド車  小淵沢駅に停車中のE200系ディーゼルハイブリッド車。ローカル線向けに片開き2ドアになっているが、E231系電車などに似た感じのステンレス車体だ。正面と側面(車体いっぱい)に「HYBRID TRAIN」のロゴが入り、ハイブリッド車であることをアピールしている。


 駅に停車中は非常に静か。普通の気動車は停車中もエンジンをアイドリングしているのでうるさいが、ディーゼルハイブリッド車はエンジンが停止する。低燃費&低排出ガス&低騒音だ。エアコンや照明などのサービス電源は大容量のバッテリーでまかなっている。ただし、バッテリー残量が少なくなるとディーゼルエンジンが始動して発電を行う。

サウンドライブラリ
JR東日本E200系ディーゼルハイブリッド車のエンジン音(小淵沢駅)

JR東日本E200系の車内  車内はセミクロスシート配置でE231系電車などと似た雰囲気だ。


JR東日本E200系の運転台  運転台は左手ワンハンドルマスコンや液晶モニターなど、やはりE231系電車などと同じ感じだ。気動車というイメージはあまりない。


エネルギーモニター(バッテリーでサービス機器駆動)  キハE200形の客室内には「エネルギーモニター」が設置されている。発電、充電、消費などがリアルタイムで分かるので、見ていておもしろいし、省エネであることがより実感できる
 この表示はバッテリーでサービス機器(エアコンや照明など)を駆動している状態を表している。ディーゼルエンジンが停止して環境に優しい状態なので、左下に「eco」表示が出ている。


エネルギーモニター(エンジン発電でバッテリー充電とサービス機器駆動)  バッテリー残量が少なくなると、エンジンで発電した電力でバッテリーの充電とサービス機器の駆動を行っている状態になる。


エネルギーモニター(バッテリーでサービス機器駆動とモーター駆動)  発車する時は、バッテリーの電力でモーターを駆動する。エンジン音がしないのでインバータ制御電車のような音だ。


エネルギーモニター(エンジン発電でバッテリー充電とサービス機器駆動とモーター駆動)  走り出してしばらくするとバッテリー残量が減ってくるのでエンジンが始動する。モーターへ電力を供給しつつ、バッテリーにも充電を行う。
 小淵沢を発車すると清里の先にあるJR線標高最高地点までは登り勾配が続くため、駅に到着する間際までエンジンが動き続ける。ただ、エンジンの回転数は一定なので、普通の気動車のように加速に合わせて音が変化することがない。登り勾配でも力強くうなる感じではなく、平然と動き続ける感じだ。


エネルギーモニター(回生ブレーキとバッテリーでサービス機器駆動)  停車駅が近づいて減速するときは、電車と同じように電力回生ブレーキが作動する。モーターを発電機にして減速。その電力でサービス機器を駆動する。サービス機器の動作に不足する分はバッテリーから供給される。


エネルギーモニター(回生ブレーキでバッテリー充電とサービス機器駆動)  回生ブレーキの電力だけでサービス機器が駆動できる状態だと、同時にバッテリーの充電も行う。
 野辺山を過ぎると下り勾配が多くなる。その為、バッテリーの電力でモーターを駆動して発車すると、すぐに回生ブレーキに移行するため走行中に全くエンジンが動かないことも多い。(何駅か連続でエンジン無稼働だった事もあった。)下り勾配の多い区間では、ほとんどバッテリー駆動の電車だな。


エネルギーモニター(回生ブレーキでバッテリー充電とサービス機器駆動さらにエンジンブレーキ)  連続した下り勾配では回生ブレーキの電力でサービス機器を駆動しても電気が余ってしまい、バッテリーもフル充電になってしまう。そうなると電力負荷が無くなって回生ブレーキが効かなくなってしまうので、エンジンブレーキが作動する。回生ブレーキの電力でエンジン発電機を回す(発電機とモーターの立場を完全に入れ替え)、そしてエンジンを低速回転させることで負荷を発生させるのだ。
 この画面表示を見て「なるほど」と思った。エンジンは発電専用で走行はモーターなのだから、エンジンブレーキなんて出来ないと思っていたのだ。しかし、車輪の回転力とエンジンの間に電気を挟むことで間接的なエンジンブレーキが出来ることが分かった。


ムービーライブラリ
JR東日本E200系ディーゼルハイブリッド車のエネルギーモニター(野辺山〜信濃川上) (YouTube)

リチウムイオンバッテリー  屋根上に搭載された大容量のリチウムイオンバッテリー。


 エネルギーモニターを見ていたら終点の中込まで全然退屈しなかった。また、全体を通してエンジンの駆動時間がかなり少ないことが分かった。環境面もサービス面も非常によいと思う。現状では小海線に先行投入された3両だけだが、今後量産されることを期待したい。

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