名古屋ガイドウェイバス
路線
ゆとりーとライン 大曽根〜小幡緑地
一般道路 小幡緑地〜志段味支所前
時刻
12:50発、約13:14着
乗車日
2001年8月14日(火)

 名古屋ガイドウェイバス「ゆとりーとライン」は道路が渋滞する都市部は専用高架軌道を走り、郊外部では一般道路を走って普通の路線バスになるという日本初の交通システムだ。専用軌道部はゴムタイヤで走行する電車(新交通システムと呼ばれるもの。)と同様な鉄道(軌道)扱いになっている。簡単に言うと鉄道(軌道)と一般道路の直通運転を行っている路線だ。
 専用軌道施設の運営や運転管理は名古屋ガイドウェイバスが行い、車両の運行は既存のバス事業者が行っている。バス事業者は名古屋市交通局、名古屋鉄道、JR東海バスの3者が乗り入れている。

大曽根駅  「ゆとりーとライン」始発駅の大曽根駅だ。JRや市営地下鉄の大曽根駅に隣接している。新交通システムの駅に似た雰囲気だが、長さが短い


高架軌道を走行するバス  大曽根駅へ向かうバス。単なる高架道路を走行するバスのように見える。


大曽根駅改札口  大曽根駅の改札口。改札口だが無人で出入りは自由運賃の支払いは一般のバスと同様に乗車時に整理券を取り、下車時に整理券とお金を運賃箱に入れるシステム(「ゆとりーとライン専用のカードも使用可)なので改札口は必要ない。ただし、混雑時に対応できるように出口だけは運賃箱が設置されている。ラッシュ時などはバス内で精算を行うと時間がかかりダイヤの乱れになるので駅で精算するようだ。なお、改札設備があるのは大曽根駅だけで他の駅は無い。


大曽根駅ホーム  大曽根駅のホーム。軌道とホームとの段差はほとんど無い。ホームの高さは歩道並み。安全のため乗降口以外は柵が設置されている。大曽根駅だけは行き先別に3つの乗車口に分かれている。また、終点なので反対側は降車専用ホーム。


大曽根駅折り返し場  大曽根駅は終点なので折り返すためのスペースがある。左側の降車ホームから出たバスはぐるりと回って右側の乗車ホームへ入ってくる。


大曽根駅へ到着するバス  大曽根駅に到着するJR東海バスの車両。車体下にあるガイド車輪が軌道脇のガイドレールに案内されて走行している。新交通システムの電車と同様な方式で、軌道幅も新交通システムと同じ規格になっている。非電化の新交通システムと言ってもいいかもしれない。
 なお、バスの外観は正面左上のマークが異なる他は3事業者とも同じカラーで「ゆとりーとライン」のロゴが入った共通のデザイン。


バスの運転席  運転席は普通のバスと同じ。ただし、軌道走行中はガイドレールに案内されて走行するため、ハンドルは握らない。カーブではハンドルが勝手に回る。(この写真は走行中に撮影したもの。)アクセルとブレーキのペダルだけで操作する。オートマチック車でシフトレバーの操作もないため足だけで運転している。
 その代わり、手は電車の運転士のように標識の指差確認などを行っている。というか、軌道走行中は電車の運転士なのだ。この運転士は大型2種運転免許の他に電車(無軌条電車)の免許も持っている。軌道を走るのに無軌条電車(トロリーバス)の免許というのは変な話だが、現在の法律では「軌道を走るバス」の免許がないのでそういうことになっているらしい。


速度制限区間  50km/hの速度制限区間に入る所。左脇に制限標識がある。鉄道(軌道)なので標識も道路のものではなく鉄道のものだ。ただ、路面には道路のように制限速度の表記があるが・・・


速度制限解除標識  速度制限解除標識も鉄道のもの。そもそも道路標識にはそんなものが無いが。


モードインターチェンジ  専用軌道区間最後の駅である小幡緑地を過ぎると高架軌道が地上に降りてモードインターチェンジに入る。遮断機の前で一時停止して軌道を走行する鉄道車両から一般道路を走行するバスに「変身」するのだ。車体下のガイド車輪が格納されると遮断機が上がり一般道路へ向かう。もちろん運転士はハンドルを握って運転する。


一般道路を走行  一般道路を走行中。ただの路線バスだ。一般道路へ出ると行き先ごとに異なる経路を走る。その為、全てを専用軌道にするより、多くの地域がこの新しい交通システムの恩恵を受けることが出来る。


モードインターチェンジ  小幡緑地にあるモードインターチェンジの全景。専用軌道と一般道路をつなぐ所だ。当然、一般車両は進入禁止。もし、一般車両が進入しても遮断機は上がらないので専用軌道に入ることは不可能。


運行司令所  モードインターチェンジに隣接した運行司令所。名古屋ガイドウェイバスの本社でもある。ここで、専用軌道を走行するバスに指令を出している


専用軌道から  専用軌道からモードインターチェンジに進入するバス。遮断機の前で一時停止をしている。ここでガイド車輪を格納。


モードインターチェンジ走行中  モードインターチェンジ内を走行するバス。右は一般道路へ向かうバス。左は専用軌道へ向かうバス。


一般道路へ  モードインターチェンジから一般道路へ出るバス。背景に見えるのは専用軌道と小幡緑地駅。


一般道路走行中  一般道路へ出て走り去っていくバス。どこから見ても普通の路線バスだ。


 ガイドウェイバスシステムは新交通システムよりも安く建設できるはず。(駅が小規模、非電化)車両も通常のバスよりは高くなるだろうが数両編成の電車よりは確実に安いはず。また、一般道路と直通できるので放射状に路線網を構築しやすい。道路交通量の比較的多い中小規模都市には便利なシステムだと思う。
 欲を言えばディーゼルバスではなく、環境に優しい電気バスやハイブリッドバスならもっと良いだろう。また、駅施設はエレベータやエスカレータが完備されているのにバスの乗降口にステップがあるので、体の不自由な人もさらに利用しやすいようにノンステップバスにすればいいと思った

 専用軌道から一般道路に乗り入れるという2つの規格を直通するのは、新幹線から在来線に乗り入れて直通するミニ新幹線のよう。規模は違うが発想は似ている感じがした。

東海交通事業
出口
JR東海 東海道新幹線「こだま」(100系)

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