東北乗り鉄2013 7.大船渡線BRT(下り)戻る

7.大船渡線BRT
乗車日時2013年8月16日(金) 9:22発、9:57(定刻9:55)着(35分)
種別・名称・番号BRT 21便
乗車区間JR東日本:気仙沼~(大船渡線BRT)~陸前高田
乗車券類odeca
運賃:480円

気仙沼駅
 宿泊したホテルパールシティ気仙沼の前から気仙沼駅を見たところ。

 大船渡線は一ノ関~盛の路線だが、鉄道として運行しているのは昨日乗車した一ノ関~気仙沼だけだ。気仙沼~盛は東日本大震災の津波で被災し、仮復旧としてBRT(バス高速輸送システム)で運行されている。BRTはバスでも安定した高速輸送が実現出来るように、線路だったところをバス専用道化した路線だ。しかし、バス専用道として整備された区間はごく一部で、ほとんどが一般道路を走行する。出来るところから順次バス専用道化していく状況だ。
 一般道路区間は原則として線路に並行した道路を走行する。しかし、鹿折唐桑~陸前高田は内陸部を走り遠回りであること、特に上鹿折~陸前矢作は途中に山道があって道路状況があまり良くないことから、海岸寄りの東浜街道や唐桑道路(国道45号線)でショートカットする経路になっている。気仙沼~盛(直通系統)、気仙沼~上鹿折(支線系統)、陸前矢作~陸前高田(支線系統)の3系統に分かれる。(上鹿折~陸前矢作はBRTで直接つながっていない。)
 車両はJR東日本が所有する専用バスで運転される。ただし、運転業務は岩手県交通に委託している。

大船渡線運行情報表示器
 気仙沼駅舎内にある大船渡線BRTの運行情報表示器。気仙沼~盛は赤とオレンジの線、気仙沼~上鹿折は緑の線、陸前矢作~陸前高田(盛まで直通)は青の線で表示されている。
 高田病院~下船渡はさらに2系統へ分かれ、オレンジと青の線は海岸寄りの線路に沿った経路だが、赤は内陸寄りの高田道路(国道45号線)でショートカットする経路になっている。このため、実際の運転は4系統で複雑だ。
 この表示器ではバスの現在位置が表示され、遅れている場合は遅れ時間も表示される。

大船渡線運行情報表示器
 気仙沼駅付近の拡大表示。気仙沼~上鹿折(緑)系統だけは既存のバス路線(ミヤコーバス鹿折金山線)を大船渡線BRT扱いにしている。JRの切符や定期券でミヤコーバスへ乗れるように取り扱っているだけで、実際にはBRTではない普通の路線バス。そのため、運行情報表示に対応していない。

 今日は気仙沼~盛の直通系統に乗車するが、時間の関係で途中の陸前高田までを往復する。

気仙沼駅BRT標識
 気仙沼駅のBRT乗り場。バス停留所にあるような標識が立っている。これが駅名標に相当する。左が気仙沼線で右が大船渡線のもの。
 JR東日本の駅名標はコーポレートカラーの緑色が使われているが、BRTは赤色が使われている

大船渡線BRT乗り場標識
 バス停留所にあるような標識だが、運賃表と時刻表がJR東日本の標準デザインで標示されている。

気仙沼駅BRT乗降場
 気仙沼駅の駅舎に隣接した気仙沼線BRTと大船渡線BRTの乗降場。ただし、大船渡線BRTの気仙沼~上鹿折系統だけは、道路上にあるミヤコーバスの気仙沼駅前バス停に発着する。(駅前ロータリーには入らない。)

バス待機場
 気仙沼駅BRT乗降場の奥にあるバス待機場。気仙沼駅に到着したバスが次の発車まで待機している。

大船渡線BRT盛行き
 大船渡線BRT盛行きに乗車する。車両は気仙沼線BRT暫定開業時に導入された中古車(元・川崎市交通局)を大船渡線BRTへ転用したものだった。
 ところで、駅名標などの案内標識もそうだが、JR東日本が運行するBRTのバス車体色は赤色で統一されている。どうして赤なのだろうか?赤がコーポレートカラーのJR九州を連想しそうだが・・・そういえば、JR東日本発足間もない頃からあった「びゅうバス」(観光周遊バス)も赤色だな。もしかして、JR東日本ではバスは赤色という決まりでもあるのだろうか?

 乗車には気仙沼駅の窓口で購入したICカード乗車券「odeca」(オデカ)を利用してみた。odecaは2013年8月3日に導入されたばかり。下車時の現金精算に時間が掛かり遅延が多発したため、スピーディーに精算できるICカード乗車券が導入されたようだ。しかし、JR東日本なのにSuicaではない。Suicaは全国のICカード乗車券と相互利用もあり、大規模なシステムになっている。たぶん、Suicaを導入すると高コストなのだろう。しかし、ローカル線にあまりコストはかけたくないので、Suicaとほぼ同様だが独立したコンパクトなシステムのodecaを導入したと思われる。
 odecaは低コストなシステムにするため、発売は駅の窓口、チャージは駅の窓口とバスの車載器で行うようになっている。駅にチャージ機などは設置されていない。
 odecaの使い方はSuica等と同じ。乗車口のカードリーダーライターにタッチして乗車する。


車内放送:気仙沼~

鹿折唐桑駅付近
 気仙沼駅を発車してしばらくは町中を走る。鹿折唐桑駅付近へ来ると海の近くになり、津波で流されてしまった風景が広がる。仮設の建物が所々にあり、復興途上だ。

 しばらくすると大船渡線の線路から大きく離れて海岸寄りにショートカットする経路へ入る。しかし、それでも一山越えるため、山道に入り長いトンネルを通る。


運賃表示器
 大船渡線BRT車内の運賃表示器。次の停車駅である長部駅はBRT区間(一般道路・国道45号線)新設された駅だ。
 なお、大船渡線BRTはあくまでも鉄道の代わりなので運転も鉄道らしい。乗降客の有無に関係なく必ず駅へ停車し、ドアの開閉を行う。でも、降車する場合は路線バスと同様に降車ボタンを押して合図する。

奇跡の一本松
 しばらく進むと進行方向右側に奇跡の一本松が見えてきた。東日本大震災の津波で多くの松がなぎ倒されてしまったが、この一本が奇跡的に残った。復興の象徴として保存されるようだ。これを見に来る観光客の便を図って、大船渡線BRTに期間限定で臨時の「奇跡の一本松駅」が設置された。

 奇跡の一本松周辺は何も無い。津波でみんな流されてしまったのだろう。しばらく進むと高台に登り、陸前高田駅に到着した。運賃箱のカードリーダーライターにodecaをタッチして下車する。


陸前高田駅
 元々の陸前高田駅は津波で被災してしまったため、高台に設置された仮設の陸前高田市庁舎にBRTの陸前高田駅が設置された。そのため、路線バスの陸前高田市役所前バス停と一緒になっている。

陸前高田駅みどりの窓口
 陸前高田駅にはBRT単独の駅で唯一、みどりの窓口が設置されている。しかも、一般道路上の駅なので市役所駐車場の片隅にプレハブ小屋で設置されている。こちらはBRTと直接関係ないためか、コーポレートカラーである緑色が使用された駅名標が付いている。
 ローカル線の小さな駅舎のように見えるが、周りに線路はもちろん、線路跡すら無いのでちょっと不思議な光景だ。
 なお、この窓口の営業は日曜、火曜、木曜の10:00~16:00だけ。(13:00~14:00は休止)訪れた日は金曜日だったので営業していなかった。

6.気仙沼宿泊 出口