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PC-FXGA

本体概要
メーカー日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)
型番PC-FXGA
発売日1995年12月8日
価格46,000円
付属品・パッド
・VIDEOケーブル
・AUDIOケーブル1
・AUDIOケーブル2
・ACアダプター
・インストールディスク
・SAMEGAME FX
・アマチュア提供CD-ROM
・GMAKERスタータキット(数量限定の「PC-FXGAキャンペーンセット」のみ)
AV出力・Sビデオ端子
・コンポジットビデオ(黄)端子
・ステレオ音声(ミニジャック)端子
対応ソフト・PC-FXGA用CD-ROM
・PC-FX用CD-ROM
ネットワークサービスなし

解説
 NECのパソコンPC-9800シリーズ用のCバス拡張ボード。PC-FXからCD-ROMドライブや拡張スロットを省いてボード化したもの。さらに、PC-FXには無かった3Dポリゴンチップを搭載した。
 パソコンにテレビゲーム機能を組み込む製品である。ただし、パッド入力やビデオ・音声出力は別である。パソコンに機能が追加されるわけではなく、ゲーム機がパソコンの中に入るだけだ。
 なお、CDで再生される音声をミキシングするために、CD-ROMドライブのヘッドフォン端子とPC-FXGAのオーディオ入力端子を接続する必要がある。(MEGA-CDのような接続だが、ケーブルは付属しているので親切。)
 2つの動作モードがある。1つはPC-FXGAをゲーム機として起動するモード。もう1つは、パソコンからPC-FXGAを制御するモード。後者ではPC-FXGAにグラフィック表示を行わせたり、別売り(PC-FXGAキャンペーンセットは付属)の開発環境を利用してPC-FXのソフトウェア開発を行うことができる。
 売れ行きの悪かったPC-FXの派生製品であることや、PC-FXGAを動作させるパソコン環境が限られていたこともあって、あまり売れなかった。なお、PC/AT互換機向けのISAバスバージョンも発売された。また、PC-9800およびPC/AT互換機共用のPCIバスバージョンも発売される計画があったが、PC-FXGA自体が成功しなかったため見送られた。

特徴&注目点
●ゲーム機として起動するモード
インストールディスク
 パソコンをゲーム機として起動する、PC-FXGA実行プログラムのインストールディスク。
 MS-DOSで動作し、このプログラムが起動すると拡張スロットに入ったPC-FXGAが主導権を持つ
 パソコンはPC-FXGAのCD-ROMドライブおよび内蔵バックアップメモリとして機能する。(パソコンはPC-FXGAの外部記憶装置になってしまう。)
 PC-FXよりも高速なCD-ROMドライブを使えば、読み込みが速くなる。
 パソコンの任意のドライブ(フォルダ)に、PC-FXGAから内蔵バックアップメモリに見えるボリュームファイルが作成される。
 バックアップメモリパックを使用することができないが、データセーブ領域が事実上無限なので問題ない。
 立ち上がるとPC-FXと同様な起動画面とメニュー(色が異なる)が表示され、PC-FXGAソフトおよびPC-FXソフトをプレイできる。
 パソコンで再生できるため、PC-FXにあるPhoto CDプレイヤーと音楽CDプレイヤーの機能は削除されている。
SAMEGAME FX
 同梱のPC-FXGA用ゲームソフト「SAMEGAME FX」。
 ゲーム機として起動するモードのメニューから立ち上げる。
 PC-FXにはない3Dポリゴンを使用した画面であるが、平面的なパズルゲームであるため3Dをあまり生かした作品でないのが残念。
 ちなみに、このソフトをPC-FXで起動すると、「アダプターが未装着のため動作出来ません。」というメッセージが表示される。
 このメッセージから想像すると、PC-FXに3Dポリゴン機能を追加してPC-FXGA相当にするアダプターが発売される計画があったのかもしれない。

●パソコンからPC-FXGAを制御するモード
アマチュア提供CD-ROM
 同梱の3DCGアニメソフト。
 Windowsで動作し、パソコンからPC-FXGAを制御してグラフィックを出力する。
 イメージとしてはビデオカードのような状態だが、パソコンの画面に表示されるわけではない。(PC-FXGAのビデオ出力)

●PC-FXの簡易開発環境「GMAKERスタータキット」
GMAKERスタータキット
 MS-DOSで動作する開発環境。(Windowsで動作するツール類も含む。)
 C言語でPC-FXのソフトを開発できる。
 コンパイラやデバッガなどはコマンドベースの非ビジュアル環境であり、初心者には取っつきにくい。
 マニュアルもかなり難解である。
 PC-FXのハードウェア仕様などが記されたマニュアルもあり、サードパーティ向けと同等品かもしれない。
 テレビゲーム機向けとしては、一般に市販された唯一の開発環境だろう。(お手軽にゲームが作れるツールなどは除く。)
 これで開発したソフトはパソコンのデバッガからPC-FXGAを実行するので、PC-FXおよびゲーム機として起動するPC-FXGAで使えるソフトになるわけではない。
 PC-FXのCD-ROMを作成できるマスタリングキットの発売予定があったが、PC-FXGA自体があまり盛り上がらなかったためか発売されなかった。
PC-FXGA ソフトメーカ様 ID 登録申請書
 GMAKERスタータキットに付属する、「PC-FXGA ソフトメーカ様 ID 登録申請書」。
 これをNECホームエレクトロニクスに送付すると、開発したソフトの起動画面にメーカー名を表示できるオブジェクトファイルが提供される。
 また、データセーブ用のバックアップファイル拡張子名(メーカーID)を付与してくれる。
 注目するべき点は、ソフトウェアメーカー(企業)だけでなく、個人(同人など)でも申し込めることだ。
 高価な開発環境を導入しなくても手軽にPC-FXへ参入できる、簡易なサードパーティ契約といえる。
 PC-FXのサードパーティ獲得に苦労していたNECホームエレクトロニクスの苦心の策だったのかもしれない。
 しかし、市販ソフトを作成できるマスタリングキットが発売されなかったこともあり、結局PC-FXの活性化にはつながらなかったようだ。

●唯一発売されたPC-FXGA用ソフト「ん~にゅ~」
ん~にゅ~
 通常のソフトウェアとしてではなく、CD-ROM付きムック本として発売された。
 書籍扱いだったため、書籍を扱わないゲームショップでは手に入らなかった。
 ディスクは2枚組で、1枚はゲーム機として起動するモードで使える3Dアクションゲーム「ん~にゅ~」。
 もう1枚はGMAKERでプログラミングをする人向けのサンプルプログラムやツールなどが収録されたパソコン用CD-ROM。

 「ん~にゅ~」はウネウネと動く不思議な3D空間を動くアクションゲーム。
 一応、後発機なので、PlayStationやSATURNでは難しそうなグラフィックを実現している。
 ちなみに、「ん~にゅ~」をPC-FXで起動すると、何故かエラーメッセージも出ずに動作する
 ただし、3Dポリゴン機能がないため画面は映らない。
 しかし、BGMが鳴っているし、操作に応じた効果音も鳴るのでゲームをプレイ可能?だ。
 存在しないハードウェアにアクセスしてもハングアップしないのは謎だ。
 だが、このことからPC-FXGAの画面表示は、PC-FXの何層にもなった表示面(動画面、BG面×7、スプライト面)に3Dポリゴン面を追加しただけなのだろう。

購入情報
購入日1995年12月8日(発売日)
購入場所ラオックス ザ・コンピュータゲーム館
購入価格46,000円
同時購入周辺機器なし
コメント
 別売りのGMAKERスタータキットがセットになって、値段はそのままの「PC-FXGAキャンペーンセット」を購入。
 PC-FXソフトの開発ができるのに期待したが、お世辞にも使いやすい開発環境ではなかったこともあり、使いこなせなかった。
 しかし、動作が快適なPC-FXとしてゲームソフトのプレイには活用した。

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